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直接的なきっかけ

昨年、多額の預金が偽造カードによって不正に引出されたとして、銀行を提訴するというケースが何件もありました。
そういった訴えは今年に入ってからも増えており、被害にあった預金者が集団で銀行を訴えるという集団訴訟も起こされています。

預金者が裁判を起こしても、民事訴訟では決着がつくまでに何年もかかることが多く、裁判費用も時間も相当な負担になります。
上記の訴訟では和解したケースもありますが、それにしてもかなりの負担です。
お金に余裕がない人は、裁判を起こすこと自体難しいのが現状と言えます。

そして今年1月はじめ、社会的にあまりに大きな被害を生んでいるカード犯罪に対して、金融庁も見過ごせないと、ようやく重い腰を上げ、銀行業界に対して、偽造カード被害の一部を補償するよう自主ルールの制定を促しました。

そんなルール改正の動きが見られ始めた中、ある大きな事件が起きました。

それが、今年1月19日のゴルフ場集団カード偽造事件です。
群馬県富岡市の「レイクウッドゴルフクラブ富岡コース」を舞台に組織的なキャッシュカードの偽造が行われ、その偽造団が警視庁などに逮捕されたというものです。

【犯行の手口】
・ロッカーに設置した隠しカメラでロッカーのカギの暗証番号を盗撮
・ロッカーから客のキャッシュカードの個人情報をスキミング
・そのスキミングした情報をもとにカードを偽造
・偽造カードを使って預金を引き出す

いったんカード情報が抜き出されてしまうと、その情報を別のカードに上書きして、簡単に偽造カードを作ることができます。
もう使われなくなった古いカードや盗難カード、偽造のためにプラスチックの板に磁気ストライプをはった空白カードなどが使われました。

では、肝心の暗証番号はどうしたかというと、ロッカーの暗証番号に、カードの暗証番号と同じものを使うケースが多かったため、知ることができたようです。
また、こうしたロッカールームではマスターキーを使うと、ロッカーの番号と暗証番号が印字される仕組みになっているところもありました。

カード情報と暗証番号を同時に盗み出し、犯行グループはいとも簡単に、現金自動預払機(ATM)から現金を引出していました。

さらに、このゴルフ場のロッカールームの配置も犯行を容易にした原因のひとつでもあります。
チェックインカウンターからも目が届かないその位置は、反対に犯行が目撃されにくく、犯行グループには有利に働いてしまいました。

驚くべきことに、犯行グループの中には、そのゴルフ場の支配人も含まれており、中国人と日本人からなる犯行グループのメンバーは、綿密に役割分担がされていました。

この事件を大きなきっかけとして、今年2月に金融庁が、被害補償ルールを検討する有識者の研究会を作りました。
しかし、それでも全国銀行協会は当初、補償に消極的でした。
それに反発した自民・公明の与党や民主党が対策チームを作り、急速に議員立法化が進んだという流れです。


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